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先日、一泊二日で大阪へ行ってきた。
野球を観たり、コーヒーを飲んだり、いろいろ目的はあったのだけれど、今回はその話は置いておいて、服の話をしたい。
今回の大阪では、以前から行こうと思っていた洋服屋が2軒あった。
ZABOU大阪店とウエアハウス大阪店。
それぞれでチノパンを買う予定にしていたので、初日はウエアハウスのチノパンを穿いて、以前ZABOU大阪店で買った長袖のボタンダウンシャツを着て直島を出た。
我ながら、ちゃんとしている(笑)。
今年の夏は、長袖、半袖に関わらず、シャツを素肌に一枚で着ることが多かった。
きっかけは7月にビームス ライフ 横浜でシャツを買ったときのこと。
店員さんと「半袖より長袖シャツが好きなんだけど、最近の夏はさすがに暑すぎる」という話をしていたら、
「インナーを着ずに、素肌にそのまま着ると風が抜けるから案外大丈夫ですよ」
と教えてくれた。
僕は最初、
「でも、こんなおっさんが素肌にシャツなんて、いやらしくない?」
と返した(笑)。
すると店員さんは、
「いえいえ、お客さんはボタンを開けて着たりしないでしょう? お客さんのスタイルなら、素肌に着ているのか、インナーを着ているのかなんて分からないですから」
と言った。
そりゃそうだ!
と思った。
同時に、この店員さんは本当に洋服が好きなんだろうな、とも思った。
シャツ一般の話をしているのではなく、僕がどういうふうにシャツを着るのかをちゃんと見たうえで話してくれている。
それで実際にやってみたら、これがなかなかいい。
インナーが一枚なくなるだけで風も抜けるし、思っていた以上に快適だった。
以来、今年の夏は仕事中も、長袖、半袖に関わらず、シャツを素肌に一枚で着ることが多くなった。
だから今回の大阪も、初日はZABOU大阪店で買った長袖シャツ。翌日はビームス ライフ 横浜で買った長袖シャツ。
これで大丈夫だと思っていた。
ところが、大阪に着いてみると、とにかく暑かった。
暑いなんてもんじゃない。
ホテルに荷物を預けて街を歩き始めると、もう汗だく。
素肌に着ている長袖シャツは、あっという間にびちょびちょになった。
それでもZABOU大阪店には、このシャツを着て行きたい。
別に誰かに褒めてもらいたいわけではないのだけれど、その店で買った服を着て、その店へ行きたい。
服好きとして、そして昔洋服屋だった自分の、どうでもいい意地である(笑)。
そのままウエアハウス大阪店にも行った。
ただ、歩きながら気がついた。
今日の夜には京セラドームへ行く。
そして明日も一日ある。
いま着ているシャツは汗でびちょびちょ。
手元にある着替えは、明日着る予定の長袖シャツが一枚だけ。
これはまずい。
そこで僕が選んだのが、
ファミマのTシャツだった。
洋服屋を探すでもなく、古着屋で適当なTシャツを買うでもなく、ファミマで買った。
ZABOU大阪店とウエアハウス大阪店での買い物を終え、ホテルへ戻ってファミマのTシャツに着替えた。
そして京セラドームへ向かった。
時間はまだ15時過ぎ。
外は相変わらず、とんでもなく暑い。
途中、予定していた井尻珈琲焙煎所さんにも寄った。
深煎りのネルドリップなので、そこは迷わずホットを飲んだ(笑)。
それにしても、
ファミマのTシャツが快適だった。
軽い。
涼しい。
汗をかいても気にならない。
あまりに快適で、歩きながら思った。
服なんて、なんでもええやん。
昔から分かっていたことではある。
3万円のジーパンも、3000円のジーパンも、ジーパンであることに変わりはない。
高いシャツを着ているからといって、誰かが褒めてくれるわけでもない。
ファミマのTシャツを着ているからといって、誰かに笑われるわけでもない。
身体を覆うという道具として考えれば、服なんて案外なんでもいい。
結局のところ、洋服なんて嗜好品なのだ。
そして翌日。
当初の予定では、ビームス ライフ 横浜で買った長袖シャツを着るつもりだった。
でもアメ村を中心に古着屋を巡り、一日かなり歩くことも分かっている。
前日の経験もある。
僕はあっさり長袖シャツをやめた。
今日もファミマのTシャツでええやん(笑)。
そうして快適に街歩きを始めた。
久しぶりの古着屋巡りは、とても楽しかった。
僕は古着屋で何も買えないことも含めて好きだ。
ブルックス・ブラザーズやL.L.Beanなど、昔から好きだったり憧れていたブランドについては、基本的にアメリカ製のものしか買わない、という自分なりのルールもある。
もちろん例外はあるけれど、そうでもしないとキリがない(笑)。
僕はぎりぎり、アメリカ製の洋服がまだ普通に新品として売られていた90年代を知っている。
当時、まだユニクロがユニーククロージングウエアハウスだった頃、W28×L30のリーバイス501とチャンピオンのTシャツを、試着もせず無造作にカゴへ入れて買っていた。
同じサイズを買ったはずなのに、
「あれ? 今回ちょっときついな」
とか、
「ん? 今回はちょっとゆったりしてるな」
なんてことも普通にあった。
それすら、
「アメリカ人、適当だなあ」
と楽しんでいた(笑)。
L.L.Beanはアメリカへ直接メールオーダーしたこともある。
友達がアルバイトしていたコンビニのFAXを借りて注文書を送った。
ちゃんと注文できたのか。
いつ届くのか。
あの頃は、待っている時間まで楽しかった。
そのとき買ったBean’s Toteもフリースも、今も手元にある。
保存していたわけではない。
今も使っているし、今も着ている。
そんな自分だから、アメ村を歩いている途中、雨宿りのつもりでふらっと入った古着屋でMade in USAのブルックス・ブラザーズを見つけたときには、やっぱり嬉しかった。
キャンディストライプのポロカラーシャツ。
7000円。
サイズ表記は15½-33、EXTRA SLIM FIT。
サイズ表記だけなら、僕ならまず選ばない。
ネットオークションやフリマサイトなら、「大きいな」で終わっていたと思う。
でもラックに掛かっている実物を見た瞬間、
「これ、自分のサイズじゃない?」
と思った。
試着してみる。
ピッタリだった。
これだから古着屋は楽しい。
ブルックスを買って店を出る頃には、雨も少し小降りになっていた。
また歩き始めて、今度は別の古着屋へふらっと入った。
そこで見つけたのが、マドラスチェックのラルフローレンの半袖シャツ。
こちらは、なんと1000円。
これも買った。
前日に、
「服なんて、なんでもええやん」
と思った人間が、翌日には古着屋でシャツを2枚買って喜んでいる(笑)。
でも、この日のファミマのTシャツには一つだけ誤算があった。
外を歩いている間は最高なのだけれど、古着屋や駅、商業施設など、冷房の効いた場所との出入りが多い。
しかも途中から雨まで降ってきた。
カフェに入り、この日はアイスコーヒーを飲んだ。
汗も引いてきた。
そして思った。
寒っ。
スーツケースはホテルに預けてある。
長袖シャツもホテルの中。
どうしよう。
そこで気がついた。
「ああ、さっきブルックス買ったじゃん」
買ったばかりのブルックスのシャツを袋から出して、ファミマのTシャツの上から羽織った。
僕は普段、シャツをTシャツの上から、ボタンも留めずに羽織るような着方はあまりしない。
でも、そんなことはどうでもいい。
寒いんだから着ればいい。
その後も快適に大阪を歩いた。
夕方、少し早めに新大阪へ向かうことにした。
ところが大阪駅で少し時間がギリギリになり、最後にちょっと走ることになった。
また汗をかいた。
新大阪には少し余裕をもって着いたので、時間を潰すためにマクドに入った。
大阪なので、このときだけはマックではなくマクドと言っておく(笑)。
ナゲットを食べて、コーラを飲む。
そうしているうちに汗が引いてきた。
すると、また寒くなってきた。
そして今度は思った。
この汗で濡れたTシャツを着たまま新幹線に乗ったら、本当に風邪をひくぞ。
若い頃なら、そのまま我慢していたかもしれない。
着替えるのが面倒だとか、この格好のほうがいいとか、そんな理由で。
でも今は違う。
トイレへ行って、濡れたファミマのTシャツを脱いだ。
そして、買ったばかりのブルックスのシャツを素肌に一枚で着た。
その格好で新幹線に乗って、直島へ帰ってきた。
今回の大阪で、ウエアハウスのチノパンも買った。
初めてのBarnstormerのチノパンも買った。
古着のブルックスも、1000円のラルフローレンも買った。
ずいぶん買い物をした(笑)。
でも、それ以上に大切なものを持って帰ってきたような気がしている。
僕は服が好きだ。
でも僕が服に対して一番大切にしているのは、価値でもブランドでもない。
「着ること」なのだと思う。
そこに関しては、ファミマのTシャツも、Made in USAのブルックスも、Barnstormerも同じだ。
暑ければ涼しい服を着る。
寒ければ一枚羽織る。
汗で濡れたら着替える。
当たり前のことなのだけれど、若い頃の僕は、案外そういうことができなかった。
格好よさを優先して、寒くても我慢する。
少しくらい靴が痛くても、そのうち馴染むと我慢する。
体調が悪くても、まだいけると無理をする。
若い頃なら、それでもなんとかなった。
風邪をひいても治るのは早かったし、多少の無理なら根性で乗り切れた(笑)。
51歳になった今は、そうはいかない。
でも、その代わりに自分の身体のことを、昔より少し分かるようになった。
寒いと思ったら着る。
疲れたら休む。
無理をしない。
少し前、体調を崩したときに店を一日臨時休業にしたのも、きっと同じことなのだと思う。
若い頃より無理は利かなくなった。
でも若い頃より、自分を大切にしながら楽しめるようになった。
そう考えると、
歳を取るのも悪くない。
というより、
案外、楽しいぞ。
と思う。
そういえば、90年代にあれだけ穿いていたアメリカ製の501は、今、一本も手元に残っていない。
普通に買って、普通に穿いて、洗って、また穿いて。
破れたら、新しい501を買った。
それを何度も繰り返した。
今となっては、一本くらい残しておけば面白かったな、とも思う。
でも、残っていないことこそが、僕と服との付き合い方を一番よく表しているのかもしれない。
価値があるから残すのではなく、
好きだから着る。
着て、洗って、また着る。
その結果、長く残る服もあれば、穿き潰して手元からなくなる服もある。
それでいい。
大阪から帰ってきて、今日は1000円で買ったラルフローレンのシャツを着て店に立っている。
結局、僕は服を着ることが好きなのだ。
服なんて、なんでもええやん。
そんなことを思って、また少し服が好きになった大阪の二日間だった。