アカイトコーヒー は瀬戸内海の小さな島『直島』で朝7時から営業している早起きなお店です。

今回の横浜旅の一番の目的は、横浜スタジアムで野球を観ることだった。

もちろん、ただ野球を観たいというだけではない。

僕には、どうしても横浜スタジアムで見たい選手がいた。

横浜DeNAベイスターズ、佐野恵太選手。

佐野恵太選手のお父さんとは、僕が若い頃に勤めていた会社の同期だ。

そして、2017年にそれぞれの仕事が始まったという意味では、佐野恵太選手とアカイトコーヒーも同期のような気持ちでいる。

もちろん、仕事の内容も、活躍する場所も、何もかも違う。

プロ野球選手と、直島の小さなコーヒー屋。

比べるようなものではない。

それでも、2017年からそれぞれの場所で歩み続けてきたことに、僕は勝手に親近感を覚えてしまう。


今年1月。

自主トレーニングを見学に行った時、お父さんとも話をした。

「今年こそは横浜スタジアムへ行こう。」

その約束のような気持ちが、今回の旅の始まりだった。

仕事の予定や定休日、夏休みに入る前というタイミングを考えていくと、7月7日の横浜開催がちょうどよかった。

しかも、その日は結婚記念日だった。

自然と、「ここしかない」と思った。


初めて入る横浜スタジアム。

街中にある球場だからなのか、スタンドには思っていた以上に勾配があり、バックネット裏の席からはグラウンド全体を見下ろすような感覚だった。

この日は子ども向けのイベントも開催されていて、球場には家族連れの姿が本当に多かった。

試合前から映像や音楽、さまざまな演出で球場全体が盛り上がっていく。

さすがDeNAだなと思うようなエンターテインメントだった。

こういう演出は、純粋な野球ファンからは好みが分かれるのかもしれない。

けれど僕は、とてもいいことだと思った。

子どもたちが野球を好きになり、また球場へ足を運ぶ。

ファンがいて、球場に来てもらって、応援してもらってこそのプロ野球なのだから。


僕自身も、子どもの頃から野球をやってきた。

初めてプロ野球を球場で観たのは、小学生の頃の岡山球場だった。

その後、大阪の日生球場でもプロ野球を観た。

晩年の日ハム時代の江夏豊投手の姿は、今でもよく覚えている。

失礼な言い方だけれど、お腹が少し出た近所のおじちゃんのような体型なのに、マウンドではものすごい球を投げていた。

子ども心に、「プロってすごい」と思った。

当時のプロ野球選手たちは、みんなテレビの中のスーパースターだった。

そんな世界に、佐野恵太選手が当たり前のように立っている。

応援され、期待され、打てなければ批判も受ける。

その光景を見ているだけで、不思議な気持ちになった。

まるで夢の中にいるような時間だった。


僕も、いつの頃からか、佐野恵太選手が一軍でプレーしていることを当たり前のように感じていた。

「今日は打った。」

「今日は打っていない。」

「今日はスタメンだ。」

そんなふうに、普通の野球ファンと同じように話していた。

でも、横浜スタジアムでその姿を見て、改めて思った。

ここに立っていること自体が、本当にすごいことなのだと。

佐野恵太選手は、2016年ドラフト9位でプロ入りした。

決して華やかなスタートではなかった。

それでも少ないチャンスをものにし、2020年には首位打者となり、オールスターにも出場した。

実は2019年、まだ一軍と二軍を行き来していた頃、オールスター休みのタイミングでアカイトコーヒーへ来てくれたことがあった。

その時、今思えばずいぶん偉そうなことを言った。

「この時期に休めとるようじゃダメだな。オールスターに出る選手にならんとな。」

佐野恵太選手は笑いながら、

「はい。頑張ります。」

と答えてくれた。

その翌2020年、本当にオールスターに出場し、その年の首位打者になった。

そして今年で、一軍に定着して7シーズン目になる。

一度結果を出すことも難しい。

でも、その場所で何年も結果を求められながらプレーし続けることは、もっと難しい。

だから僕は、改めて思う。

佐野恵太選手は、本当にすごい選手だ。

僕にできることは多くない。

でも、こうして文章を書くことくらいはできる。

この記事を読んで、ひとりでも佐野恵太選手を知ってくれたり、応援してくれる人が増えたら嬉しい。

それが、僕なりの応援だ。


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