アカイトコーヒー は瀬戸内海の小さな島『直島』で朝7時から営業している早起きなお店です。

先日、直島でお店を営む友人がコーヒーを飲みに来てくれました。

他愛もない会話をしていると、ふと彼が言いました。

「僕、スペシャルティコーヒーって飲んだことないんですよ。」

「いま飲んでるやん。」

そう返すと、

「えっ?」

少し間を置いて、

「えっ!」

二人で笑ってしまいました。

そのあとも普通に会話は続いたのですが、あの短いやり取りが、なぜか頭に残っています。

コーヒーの世界には、いろいろな言葉があります。

産地、精製方法、品種、焙煎度。

そして、「スペシャルティコーヒー」という言葉も、その一つです。

でも、お店を始めてからずっと思っていることがあります。

コーヒーは、知らなくても美味しい。

知っていると、また違う楽しさがある。

その順番が好きです。

「これはスペシャルティコーヒーです。」

そう言われて飲む一杯もいいけれど、

「美味しかった。」

そのあとで、「そうだったんですね。」と知る一杯も、わるくありません。

名前より先に、味や時間が残る。

そんなコーヒーでありたいと思っています。

なので、これからも「スペシャルティコーヒーです」と、あまり前に出して言うことはないと思います。

でも、もしお店でそんな会話になったら、

「いま飲んでるやん。」

と、僕はまた言うかもしれません。

そしてきっと、あの時のように「えっ?」となるような気がしています。