

最近、アカイトコーヒーのグッズについて考える時間が増えている。
キャップを作ったり、Tシャツを作ったり。
色合わせを考えたり、刺繍の色で遊んだり。
でも、振り返るとアカイトコーヒーは当初、グッズ展開にはかなり消極的だった。
「コーヒー屋なんだから、コーヒーをちゃんとやればいい」
そんな気持ちがどこかにあったのだと思う。
実際、観光地という土地柄もあって、昔はよく言われた。
「Tシャツに“直島”ってプリントしたら売れるだろ」
たしかに、それは正しいのかもしれない。
でも僕は、“直島のお土産”を作りたいわけではなかった。
自分が普通に着たいと思えるもの。
気づけば毎日手に取ってしまうようなもの。
そんなものを作りたかった。

最近作ったキャップもそう。
フロントには「A」。
バックには「AKAITO COFFEE」。
一見すると、どこの店のものか分からないくらいでちょうどいいと思っている。
20年以上、キャップもハットもハンチングもキャスケットも被り続けてきた。
でも結局、自分の原点にあるのは、17歳の頃に岡山駅西口の古着屋でダンボール箱から掘り出して被っていた、あのチープなベースボールキャップだった。
そう考えると、今自分がやっていることは、少し不思議だ。
昔よく古着屋で見ていた、アメリカのガソリンスタンドのTシャツ。
どこかのドーナツショップのキャップ。
ハンバーガーショップのロゴが入ったマグカップ。
その店が今も存在しているのかも知らない。
どんな人たちが働いていたのかも知らない。
それでも僕は、そこに“何か”を感じていた。
16歳の頃、初めて行った大阪・アメリカ村の古着屋。
そこで買った、アメリカのガソリンスタンドやレストランの名前がプリントされたTシャツ。
意味なんて分からないまま、古いアメリカ映画を観る時には、ハンバーガーショップやドーナツショップのロゴが入ったファイヤーキングのマグで、カッコつけてインスタントコーヒーを飲んでいた。
今思えば、かなり背伸びしていたと思う。
でも、あの頃に頭の中で思い描いていた「かっこいいアメリカ」は、今もずっと自分の中に残っている。
だから最近は、こう思うようになった。
アカイトコーヒーという小さな店が、もし何十年後かに無くなったとしても、Tシャツやキャップだけは誰かの手元に残っているかもしれない。
東京や京都や大阪で、偶然アカイトコーヒーのキャップを被っている人とすれ違う。
あるいは何年後かに、古着屋やリサイクルショップで誰かがアカイトコーヒーのTシャツを見つける。
そんな未来を想像すると、一度は諦めた「洋服屋になりたかった夢」も、形を変えて続いているのかもしれないと思う。
コーヒー屋として日々を積み重ねながら、グッズでは少し遊ぶ。
僕の中では、店作りもグッズ作りも、実はどこか繋がっている。
簡単に売れるものは、たしかにある。
でも、長く愛され続けるものは、結局のところ日々の積み重ねの中からしか生まれないのだと思う。
これから先のまだ見ぬ世界への楽しみと、新たな夢を乗せて。
今日もまた、未来の誰かの古着を作っている。